お知らせ

2019年9月3日  通勤災害

通勤

  1. 通勤災害とは

通勤災害とは、労働者の通勤による負傷、疾病、障害、又は死亡をいいます。 「通勤による」とは、通勤に通常伴う危険が具体化したことを指します。 したがって、通勤途上において、Ⅰ.自動車にひかれた場合、Ⅱ.駅の階段から転落した場合、Ⅲ.暴漢に襲われた場合などに伴う負傷等は、通勤災害と認められます。

一方、通勤途上において、Ⅰ.労働者の故意によって生じた災害(自殺等)の場合、Ⅱ.怨恨をもったケンカにより負傷した場合などに伴う負傷等は、通勤災害と認められません。

  1. 通勤による疾病

通勤による疾病の範囲は、労災保険法施行規則において次のものが定められており、次のいずれにも該当しないものは、通勤による疾病とは認められません。

  1. 通勤による負傷に起因する疾病
    (自動車事故によるガラスの破片で負傷し、破傷風になった場合など)
  2. その他通勤に起因することの明らかな疾病
    (転倒したタンクローリーから有害物質が流失し、急性中毒になった場合など)
    なお、労災保険法施行規則には、具体的な疾病名は規定されていません。

  1. 通勤の定義の基本的な考え方

  1. 通勤途中で逸脱・中断をしないこと
    「逸脱・中断」とは、通勤途中で映画館に入る場合や、飲食店等で飲食をする場合をいいます。 この行為をした場合には、「その間」と「その後の移動」は通勤となりません。 ただし、「ささいな行為」にあたる場合には「逸脱・中断」に該当しません。

【ささいな行為】

  1. 通勤経路近くの公衆便所を使用する場合
  2. 通勤経路近くにある公園で短時間休息する場合
  3. 通勤経路上の店で、タバコや雑誌等を購入したり、ごく短時間お茶、ビール等を飲んだりする場合

  1. なお、「逸脱・中断」が「日常生活上必要な行為」で、最小限度のものに該当する場合には、「その間」のみが通勤となりません。 この場合、合理的な経路に戻った後は、通勤と認められます。

【日常生活上必要な行為】

  1. 日用品の購入その他これに準ずる行為
    (例)惣菜等の購入、独身労働者の食堂での食事、クリーニング店、書店、理髪店・美容院への立寄り
  2. 公共職業能力開発施設において行われる職業訓練、学校教育法に規定する学校において行われる教育、その他これらに準ずる教育訓練であって、職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
  3. 選挙権の行使、その他これに準ずる行為
  4. 病院又は診療所において診察、又は治療を受けること、その他これに準ずる行為
  5. 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母、及び兄弟姉妹、並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

  1. 通勤が就業に関して行われること
    移動行為が業務に就くため、又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とするものです。 つまり、通勤と認められるためには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることが必要です。
    従って、通勤と認められるためには、原則として被災当日に就業することになっていたこと、又は現実に就業していたことが必要です。 休日に会社の運動施設を利用する場合や、出勤途中に気分が悪くなって帰宅する場合等は、通勤とはなりません。

  1. 寝過ごしによる遅刻、ラッシュ回避のための早出等は、時間的に多少の前後があっても就業との関連性が認められます。
  2. 業務終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動等をした後に帰宅するような場合には、それが就業と帰宅との直接的関連性を失わせるほど長時間(2時間程度)となるような場合を除き、就業との関連性が認められます。

  1. 通勤が合理的な経路及び方法によって行われること
    一般に労働者が用いるものと認められる経路及び手段等をいいます。 次の経路は合理的と認められます。 ただし、合理的な理由もなく著しく遠回りとなる経路をとる場合は除きます。

  1. 定期券に表示され、又は会社に届け出ている鉄道等の路線
  2. マイカー等を利用する場合に通常考えられる複数の経路
  3. 共働き労働者が託児所等に子どもを預けるためにとる経路

  1. なお、「合理的な方法」とは、平常用いているか否かにかかわらず、通常用いられる交通方法をいいます。 ただし、免許を取得したことがない者が自動車を運転する場合や、泥酔して自動車・自転車を運転するする場合は合理的な方法と認められません。 また、軽い飲酒運転、単なる免許不携帯、更新忘れによる無免許運転の場合等は、必ずしも合理性を欠くものとなりませんが、支給制限が行われる可能性があります。

  1. 通勤が業務の性質を有するものでないこと
    次の移動行為は、事業主の支配下にあるとされ、通勤とはなりません。 当該移動行為による災害は業務災害となります。

  1. 事業主の提供する専用バス等を利用してする通勤
  2. 休日又は休暇中に呼出しを受け、予定外に緊急出勤する場合

  1. 通勤が「住居」と「就業の場所」との間の往復であること

【住居とは】

  1. 労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所(住居と通勤経路の境界は、アパートの場合には、「部屋の外戸」、一戸建て家屋の場合は、「門」とされている。)で、本人の就業のための拠点となるところをいいます。

  1. 就業の必要上、家族の住む場所とは別にアパートを借り、そこから通勤する場合には、そこが住居となります。
  2. 長時間の残業や早出出勤の必要性、又は天災や交通ストライキ等の事情のため、やむを得ず会社近くのホテルに泊まる場合などは、当該ホテルが住居となります。
  3. 友人宅で麻雀をし、翌朝そこから直接出勤する場合は、住居とは認められません。

【就業の場所とは】

  1. 業務を開始し、又は終了する場所のことです。
    物品を得意先に届けてその届け先から直帰する場合の当該届け出先、派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、又は終了する場所、全員参加で出勤扱いとなる会社主催の運動会の会場等は、就業の場所に該当します。

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