2019年7月31日 医師の断続的宿日直勤務
断続的労働従事者は、労働基準監督署長の許可を受ければ、労働基準法の「労働時間、休憩及び休日」に関する規定が適用されません。
すなわち、残業手当を支払う必要がなくなりますし、また休憩や休日を与えなくても構いません。
しかしながら、医師についてはその専門的な仕事の内容から、一般の労働者に比べ断続的労働と認める許可基準が特有のものになっており、以下の7つの要件が必要となってきます。
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勤務内容が、常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書、又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものであり、夜間に従事する業務は、上記の一般の宿直業務以外には、病室の定時巡回、異常患者の医師への報告、あるいは少数の要注意患者の定時検脈、検温等特殊の措置を要しない軽度の、又は短時間の業務に限られ、昼間と同態様の業務は含まれないこと。
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宿直勤務が、通常の労働の継続(始業、又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受、又は盗難・火災防止を行うもの)でないこと。
通常の勤務時間の拘束から、完全に解放された後のものであること。
通常の勤務態様が継続している場合は解放されたとはいえないから、その間は時間外労働として取扱わなければならないこと。
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宿日直勤務1回に対して支払われる手当の最低額は、当該事業所において宿直、又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている割増賃金基礎賃金の、1人1日平均の3分の1を下らないものであること。
(ただし、同一企業に属する数個の事業場について、一律の基準により宿直、又は日直の手当額を定める必要がある場合には、当該事業場の属する企業の全事業場において宿日直勤務に就くことの予定されている同種の労働者についての、1人1日平均額によることができる。
また、宿日直勤務の時間が通常の宿日直の時間に比して著しく短いものであるなど、上記基準によることが著しく困難、又は不適当と認められる場合は除く。)
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宿直勤務は週1回、日直勤務は月1回以内であること。
(ただし、当該事業場に勤務する18歳以上の者で、法律上宿日直を行いうるすべてのものに宿日直をさせてもなお不足であり、かつ職務の労働密度が薄い場合は除く。)
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宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置されていること。
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夜間に充分睡眠がとりうること。
(宿直中に、突発的な事故による応急患者の診療、又は入院、急患の死亡、出産等があり、或は医師が看護師等に予め命じた処置を行わしめる等、昼間と同様態の労働に従事することが稀にある場合には、一般的にみて睡眠が充分にとりうるものであり、時間外労働割増賃金が支払われること。)
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宿直のために泊り込む医師、看護師等の数を、宿直の際に担当する患者数との関係、あるいは当該病院等に夜間来院する急病患者の発生率との関係等から見て、昼間と同態様の労働に従事することが常態であるようなものでないこと。