2019年6月19日 高度プロフェッショナル制度
平成31年4月1日の働き方改革関連法案施行に伴い、高度プロフェッショナル制度が創設されました。
一定の年収を有する労働者を特定の高度専門業務に就かせた場合に、使用者の健康確保措置、本人の同意、労使委員会の決議等の要件として、労働基準法の「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金」の規定を適用除外する制度です。
従って、対象となる労働者は、残業規制が一切なくなり、すべての割増賃金もなくなるということです。
この改正の趣旨は、時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランスを実現し、生産性の向上や国際競争力の強化のために必要な働き方の選択肢を与えるというものです。
【高度プロフェッショナル制度を導入する6つのステップ】
- 労使委員会の設置
- 労使委員会で決議をする
- 決議を所轄労働基準監督署長に届け出る
- 対象労働者の同意を書面で得る
- 対象労働者を対象業務に就かせる
- 決議の有効期間内に適用される
【対象業務】
- 金融商品の開発
- 金融商品のディーリング
- 金融アナリスト
- コンサルト業務
- 研究開発業務
【対象労働者】
- 使用者との合意に基づき職務が明確に定められている労働者
- 年収が1,075万円以上である労働者
【労使委員会の決議事項】
- 対象業務
- 対象労働者の範囲
- 健康管理時間を把握する措置を使用者が講ずること
- 1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を使用者が与えること
- 次のいずれかの措置を講ずること(選択的措置)
- 勤務間インターバルの措置及び深夜業の回数を、1ヶ月について4回以内とすること
- 1週間あたりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1ヵ月に100時間、又は3ヵ月について240時間を超えない範囲内とすること
- 1年に1回以上の継続した2週間(労働者が請求した場合は1年以上に2回以上の継続した1週間)の休日を与えること
- 1週間あたりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間が、1ヵ月当たり80時間を超えた労働者、又は申出があった労働者に健康診断をすること
- 対象労働者の健康管理時間の状況に応じた健康、及び福祉を確保するための措置を使用者が講ずること
- 対象労働者の同意の撤回に関する手続き
- 対象労働者からの苦情の処理に関する措置を使用者が講ずること
- 使用者は同意をしなかった対象労働者に対して、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと
- 労使委員会の決議の有効期間の定め、及び当該決議は、再度決議をしない限り更新されない旨
- 労使委員会の開催頻度、及び開催時期
- 常時50人未満の労働者を使用する事業場である場合には、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師を選任すること
- 使用者は、一定の事項に関する対象労働者ごとの記録、及び上記 12. の医師の選任に関する記録を、決議の有効期間中、及びその満了後3年間保存すること