2019年4月19日 就業規則を不利益に変更するには?
就業規則を労働者の不利益に変更することは、原則として許されません。
もちろん、労働者及び使用者の合意があれば、変更することは可能です。
ただし、合意がなくとも、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が合理的なものであれば、不利益変更は認められます。
就業規則の変更が「合理的」なものであるか否かの判断は、次の要素に照らして、総合的に考慮して判断されます。 なお、「合理的」なものであるという評価を基礎づける事実についての立証責任は、使用者側が負います。
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労働者の受ける不利益の程度
「個々の労働者の」不利益の程度をいう。 -
労働条件の変更の必要性
企業の業績悪化など、「使用者にとって」の労働条件の変更の必要性をいう。 -
変更後の就業規則の内容の相当性
変更の「内容全体」の相当性をいう。 労働者に対する代償措置の有無や、我が国社会における一般的状況(時短の推進等)なども考慮される。 - 労働組合等との交渉の状況
- その他の就業規則の変更に係る事情
ただし、不利益変更が認められる場合であっても、労働契約において、就業規則の変更によって変更されない労働条件として合意していた部分(就業規則で定める基準に達しない部分を除く。)については、その個別の合意の内容が優先されます。 つまり、個々の労働者が、それぞれ就業規則で定める労働条件より有利に契約していた部分は、就業規則が不利益に変更されても有利なままで変更されない、ということです。